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酔生夢死の世の中を渡るには、それなりの覚悟と知恵がいる。そんな覚悟も知恵もなく歩んできた人生の好きなことを、好きなように書き散らしました。

地獄 [エッセー]

地獄

 蟻地獄みな生きてゐる伽藍かな 阿波野(あわの)青畝(せいほ)


 蟻地獄 萩原朔太郎

 ありぢごくは蟻をとらへんとて
 おとし穴の底にひそみかくれぬ
 ありぢごくの貪婪の瞳に
 かげろふはちらりちらりと燃えてあさましや。
 ほろほろと砂のくづれ落つるひびきに
 ありぢごくはおどろきて隱れ家をはしりいづれば
 なにかしらねどうす紅く長きものが走りて居たりき。
 ありぢごくの黒い手脚に
 かんかんと日の照りつける夏の日のまつぴるま
 あるかなきかの蟲けらの落す涙は
 草の葉のうへに光りて消えゆけり。
 あとかたもなく消えゆけり。
                    以 上

 
 生き物はみな生き延びるために餌を獲る。あるいは、強い相手に捕食される。罠を仕掛けてじっと獲物が掛かるのを待つのもいるし、餌を追いかけ回して捕食する動物もいる。
 朔太郎の「蟻地獄」と青畝の句では、しかし、印象が大きく違う。朔太郎の作には孤独や忍耐、悲哀が感じられ、青畝の句は妙に明るい。



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