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酔生夢死の世の中を渡るには、それなりの覚悟と知恵がいる。そんな覚悟も知恵もなく歩んできた人生の好きなことを、好きなように書き散らしました。

歌集 「青春」から [短歌]

夕暮れに立つ風ありて心暗しこの町には生きていられぬ故

口づけの口よりもるるたましいの我に返らず彷徨えよ心!

見上ぐれば星ひとつなき晴天よマッチ擂り惚れ直している

君が弾くピアノの音のやや暗し炎天に舞う蝶は何処へ

六畳の真暗き下宿に灯り付け出さざりきラブレター光る

眉上げし瞳の底に敵意見ゆ十二の初潮仏滅の日の妹

唇に笑み含みおる妹の手に握られし首なしの雀

その夕べ妹は静かに熟しおり「愛のおのずから目覚める時までは」

父のその猫背に積もる九十年ふと問いたきは「何故に我を生みし?」


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歌集 「青春」から [短歌]

マラソンの走り過ぎたる青春の童貞の影水面に残る

エロチスム没我状態恍惚境妹は読むバタイユ著

青春の傷癒えゆかんコーヒーの底に溶けつつある角砂糖

春浅き星降る夜の水晶蝶傷みし夢を追いつつ飛ぶか

紺青の孤独抱きしむ浅き春雪の下草根に絡まる血

海風に一人吹かれて山晴れる沖に流せし「遅すぎる出会い」

聖母マリアを讃える歌を覚えしは処女喪失の日雪降る日なり


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歌集 「青春」から数首 [短歌]

押花のごとく日記にはさみたり人に捧げしがむしゃらの愛

山猫を抱けばほのかに君の香りがする妹よ愛は雪なり!

その背(せな)に光受けつつ歩む人優しく更に優しき女(ひと)よ

頑なのわが心をも溶かし行け春の陽注ぐ雪解けの朝

恋唄は哀しきまでに響きおり胸去りやらぬ幻の花、と

この夜の静寂に閉じるマタイ伝星に及びぬ「ひそかなる思慕」

雪の日に愛欲すれば風強し冬ざれた街を鳩は飛び交う

照らされて渇けばビール喉にうまし人の心は何にて潤うや?

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自獄論97-100 [短歌]

黙視する未完の無惨哀しみは葡萄の房より重く熟れ

生と死を隔てるものは何もなし死者さえ祈るラザロ徴候

望まぬは自己決定という言葉決められはせぬ我が死の時は

春の夜にイスカリオテのユダ想う役目とあればただ果たすべし

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自獄論93-96 [短歌]

身を焦がし脂したたる秋刀魚かな罪深き我が業の苦さよ

この夕べ業を煮やして秋刀魚食う 闇迫り来て脅迫となる

愛すれば凶と知りつつ消えやらぬ夢の数々哀しみに満ち

中空に舞う淡雪の我が未恋乳房には乳房の思想あれかし


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自獄論89-92 [短歌]

恋人とクリスマス・キャロル唱うとき殺意のごとく射す夕陽かな

縄跳びの少女の細き腰跳ねて輪を抜けられず老婆となりぬ


網の上焼き焦がされて煤けるは秋刀魚の脂と強き我が業

我が業の溶けて流れる網の上無残に残る秋刀魚の脂

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自獄論85-88 [短歌]

白球に追いつけぬまま少年は泣きじゃくりつつ細き脚抱く

少年よ甲高き声で歌唱え汚れも恥も覚えぬうちに

少年の鳴らす口笛性急に駆り立てられる無言の愛は

潔癖さ持たぬ少女は拒否されよ分かち合えぬは血、汗、涙

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自獄論81-84 [短歌]

風に聞け自問自答の謎深く冬陽を寒きポケットに入れ

明日という言葉いつまで信じるか疑わしきは神父の祈り

あの鞠の弾みと共に忘れるな少女よ君の純潔は善

夢さえも君より速く走り抜け汚れを知って老いねばならぬ

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自獄論77-80 [短歌]

藍染めの浴衣の少女悩みおり愛は藍よりも青ざめて立つ

藍色の憂色よりも深き愛に染まる少女の藍染めの浴衣

愛よりもなお青ざめて藍に染む浴衣の少女の花言葉は何

結晶とはやなりぬるか追憶は憎悪も愛も純化の果てに

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自獄論73-76 [短歌]

われと母つなぐ追慕は煌らかに日々剥がれ行く雲母の切片

わが母の患い給う子宮なり厚き筋腫を塞ぎいしわれ

潮風は我が頬撫でて冷ややかにわれを連れ去る忘却の空

許されて少女が選ぶ花言葉拒絶の色の瑠璃唐草よ

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自獄論69-72 [短歌]

薄明に豊かに実る柿ひとつ糖度高まり煮詰まる不運

復活の日は訪れず寒風に降りしきる雪手の中に溶け

空ははや見上げるものにあらずして風は吹かねど銀杏は落つ


嗚咽にしかならないほどの哀しみが母亡き後にあると思わず

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自獄論65-68 [短歌]

散骨を我は望まず立ち上がれ椅子に残りし熱冷めぬ間に

冷え冷えと降る秋雨やゆるゆると人の心は解凍すべし

われを責む未遂の一簣霧となり後悔はせずひたむきに生く

沸々と湧く想い出は振り捨てよ忘却こそは見返り阿弥陀

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自獄論61-64 [短歌]

帰りたきあの日はすでに遠ざかり秋風の中落ち葉踏み行く

結ばれず去りゆきし女懐かしく掌に書くその女の名を

再びと逢うことはなき面影を慕うことなく年は暮れゆく

言いかけた続きの言葉を聞かぬまま泣きにし女の名をも忘れて

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自獄論57-60 [短歌]

アメリカを熱く焦がれた少年期、ああ初恋は苦き目眩か

時遅く差し伸べられた右腕に重ならぬままのわれの右腕

露地裏にひっそりと咲く花が好きその花に似し人今どこにあり

初恋の人と同じ名前持つ少女の髪の長き憂鬱

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自獄論53-56 [短歌]

繰り返し真っ逆さまに落ちてくるあの忌まわしき波の名は詩(うた)

いつ見ても未完のままで工事中わが詩の神はサグラダ・ファミリア

長くまた短くもあるこの詩形囚われ人の棺となさん

詩歌とは氷の焔わが寄せる熱き頬をば氷室となして

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自獄論49-52 [短歌]

哀矜の思いを深く胸に秘めわれに留まるムーサイありや

病葉は浮きつ沈みつ流れゆくわが朽ち果てし歌いかにせむ

濡れ落ちた病葉などは目もくれず想い出拾う歌人ひとり

許すとは神のみにあり許されぬ多き過ち歌で償え

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自獄論45-48 [短歌]

歌などを覚えるべきできはなかったと歌詠むわれに言うもわれなり

輝ける想い出の渚遠ざかる一行の詩が生まれる前に

精魂を込めて詠いしこの一首鈍き響きに非詩非詩となり

哀しみは胸を塞いでひしひしと我に告げくる時は至ると

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自獄論41-44 [短歌]

寒天の固まるまでの冷ややかさわが言の葉の瞬間凍結

嚥下する歌の水子と苦き唾美神はどこに潜みておらむ

乾きいるわれの心に降るものは短き歌をなさぬ言の葉

歌ならば心の支えとなるものをたつきにならず深まる悲哀

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自獄論37-40 [短歌]

倉庫群建ち並びたる赤レンガ税関ありや詩歌の神に

叫びつつある魂の痛ましさ歌成らば成れ毀れれば毀れよ

短き詩唱わんとして足を踏む影踏み唱う韻踏まぬ歌

我が歌は歌ともならずそのままに奇形を祝え言祝ぎをせよ

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自獄論33-36 [短歌]

シャンプーの強すぎる香に辟易し薄れつつある神と追憶

しとしと降り続く雨魂(たま)腐す志と詩と死とと重なりあいて

花火すら漆黒の闇を彩るにわれの一期を彩るか歌

歌詠めば休み黙すれば爆発する心の奥のマグマの熱さ

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自獄論29-32 [短歌]

今朝受けし振り向きざまの軽蔑に怒り鎮める夕べさやけし

宵闇に紛れて来たる希望など明日の糧にはなりえぬものを

陽は溢れ光に満ちたこの町の片隅にある悪意の芽生え

思い見よ多孔性なるわが意識滲み出るは愛と哀しみ

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自獄論25-28 [短歌]

連翹は南無妙法連翹と咲き揃う妙法なきや世を渡る術

陽炎の島影見えて遠ざかる離れ行く夢近づく絶望

答えなき問い響き合う人の生残響は問う 主よいずこへ(Quo vadis domine)

わが内の螺旋形した遺失物無くせしものは輝いて見え

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自獄論21-24 [短歌]

寂寞の請求書ばかりの過去ゆえに空は飛ばぬと鴎は告げる

救済も安堵もついに訪れず 与えよさらば与えられん(Date et dabitur vobis)
注 Date et dabitur vobisとはラテン語で、ダテ・エト・ダビトゥル・ウォービースと読む。
意味は与えよさらば与えられん。

朝の海波照り返し鴎啼く飛翔の時は過ぎ去りしまま

蝉の声聞こえぬままに秋到るその青空の深き憂愁

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自獄論17-20 [短歌]

群れなして小魚泳ぐ海中に不安と疑心も浮かぶ目眩よ

口づけの口よりもれるたましいの我に返らぬ不安とは何

街角の広告板は傾けり「末世の救い神の光!」

魚跳ねて水面は閉じず水底の深き暗黒われを呼ばわる

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自獄論13-16 [短歌]

群れはぐれ水鳥一羽背を向けて水浴びしおり我が友なれば

わが内に潜めておきし獣あり齢を重ね牙抜け落ちぬ

白子乾大根おろしに浸すとき私に集まる小さい目

群れなして小魚泳ぐ海中に不安と疑心も浮かぶ目眩よ

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自獄論9-12 [短歌]

壊すなかれ赤蜻蛉の薄き羽根反重力の象徴なるを

衰凋の秋の陽射しの彼岸かな細り行くのみわが腕の肉

脱皮後のトンボが告げるさよならにただ耐えておりその抜け殻は

透き通る羽震わせるオニヤンマ告知なき別れに耐える抜け殻

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自獄論5-8 [短歌]

希望から絶望に至るグラデーション行方不明のわが座標軸

魂の回帰分析われにあり哀しみこそは独立変数

胸中に埋めたままの地雷あり信管外す時は至らず

蝉鳴けば蝉鳥啼けば鳥に飛ぶ術持たぬわれはなりたし

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