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酔生夢死の世の中を渡るには、それなりの覚悟と知恵がいる。そんな覚悟も知恵もなく歩んできた人生の好きなことを、好きなように書き散らしました。

太田道灌 [エッセー]

太田道灌

 かかる時 さこそ命の をしからめ かねてなき身と 思ひしらずば 
 この歌は特に解説の必要もあるまい。
 
 昨日まで まくめうしわを 入れ置きし へむなし袋 いま破りてむ
「昨日まで分別などという、迷い心を内に蔵していたこの袋も、もはや無用無益である。遂に今、破れてしまったわい」問いいう意味。
 
 太田道灌の辞世として有名な二首である。
「まくめうしわ」とは「まくもうぞう(莫妄想)」のことで、妄想するなということ。
「へむなし袋」は役に立たぬ、何のとりえもない肉体の味意。

 私たちは、日頃から様々な分別や判断に頼って自分の進路を決めている。そして、それが良い結果を生むのか、あるいは良くない結果になるかは誰にも分からない。すぐに結果が見える場合もあれば、数年あるいは数十年たった後に、あのときのあれはこういう意味だったのかと気付くこともあるからだ。
 
 いずれにしても、この肉体が破れては分別も知識も経験もすべて無に帰すのだ。無より出でて無に帰る。ただ、それだけのことである。それは理屈では誰もが理解している。

 しかし、頭脳明晰、文武両道に長けたこの人にしてこの感慨だ。我々凡人がどれほど努力してみても、このような執着からは簡単に逃れられそうにもない。


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